梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

続・「2020東京五輪」の《どっちらけ》

 新年早々、早くも戦争の兆しが現れた。〈米国防省は2日、トランプ大統領の命令により、イランの精鋭軍事組織「革命防衛隊」の対外工作部隊を主導するソレイマニ司令官らを殺害したと発表した。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、イラクの首都バグダッドの国際空港でソレイマイニ氏らを乗せた車列を米軍の無人機がミサイルで攻撃、イラン側も死亡を認めた。最高幹部が殺害されたイランと米国の対立激化は必至で、最高指導者ハメネイ師は声明で「厳しい報復が犯罪者に待ち受けている」と警告。中東情勢が一気に緊迫度を増す恐れがある。〉(「東京新聞」2020年1月4日付け朝刊・1面) 今回の殺害は、〈米国防総省によると「米国人を守るための防御的行動で、イランの将来的な攻撃計画を抑止するのが目的」とされている〉(前出・同)そうだが、イランの司令官がなぜイラクで襲われたのか、米国の無人機はどこから飛び立ったのか、など私にはよくわからない。いずれにせよ、中東情勢は複雑であり、また「一気に緊迫度を増す」ことはたしかなようだ。そんな折り、今年は「2020東京オリンピック・パラリンピック」が開催される。その理念は憲章に謳われている通り《オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重点を置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである》。だとすれば、主催国日本は、断じて、米国とイランの報復連鎖を許してはならない。すでに、イランも米国も相手国民を殺害している。その時点で、すでにオリンピック・パラリンピックへの参加資格を失っているのだ。両国の選手は、個人の資格で参加するほかはないのである。だがしかし、IOC、JOCにそのような「動き」(気配)は全く感じられない。いうまでもなく、オリンピック憲章など「絵に描いた餅」に過ぎない。金メダル500万円、銀メダル200万円、銅メダル100万円という《懸賞金》がかかっているからである。
 かくてまた、人類は「(永久に)平和な社会」への道をはずれ、金まみれの栄光と名誉ある地位を争い合う選択肢をを選ぶようである。
(2020.1.4)