梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の戦後70年・体育大会

 小学校の運動会は中学では「体育大会」、徒競走は100メートル走と名称が変わった。陸上競技部員だった私は、当然100メートル走で1着にならなければならない。クラスメートはそうなるものと期待して、私のスタートに注目していた。しかし、結果は意外にも着外、「ナーンダ」という侮蔑の声があちこちで聞かれた。他の陸上競技部員は大活躍「おまえ、それでも陸上部か、この面汚し!」と叱られる他はなかった。以後、汚名返上のため練習に専念したが、「学区外通学」のため帰宅時間が遅くなるという理由で、父から退部を指示され、ほぼ1年間で、私の陸上競技部生活は終わってしまった。翌年、二年生に進級した「体育大会」、100メートル走では、スタートすると、なぜか誰も着いて来ない。「変だな、おかしいな」と思ううち、気がつけばゴールのテープを切っていた。まさに「継続は力なり」という言葉を体感した一瞬であった。(2015.4.21))