梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

私の戦後70年・陸上競技部

 中学1年生になり、私は陸上競技部に入部した。野球部、ハンドボール部などに比べて人気は薄く、新入部員は三人だけであった。初めての活動日、部長は私たち三人に向かって「まじめにやれよ、サボるなよ。」と言った。サボる?、練習するために入ったのだから覚悟はできている、と思ったが、いざ始まると先輩には着いていけなかった。全員がグランド1周を全速力で走り、次の1周はジョギング、次はまた全速力といったインターバル走を繰り返す。私は最後尾をジョギングで着いていくだけ、その様子を見て、下校する他の上級生がからかった。「まじめにやれよ、サボるなよ」。30分が経過した頃、その上級生が忘れ物でもしたらしく戻って来た。まだ走っている私を見て、「おまえ、まだ走っているのか」と驚いていた。練習後の生活では、筋肉痛で階段の昇り降りがきつかったが、その痛みを「心地よい」と楽しめるほど、私は若かった。(2015.4.20)