梨野礫・著作集

古稀を過ぎた老人が、これまでに綴った拙い文章の数々です。お読み捨てください。

脱テレビ宣言・検証・《「酒井法子保釈」報道のバカ騒ぎ》

 東京新聞朝刊(14面)に「『酒井法子保釈』にTV報道過熱 民放素早く、NHKは夕方“参戦” ヘリで追跡の局も」という見出しの記事が載っている。昨日の夕方、私はとあるスーパー銭湯のサウナ室にいたので、その番組を(観たくもないのに、無理矢理、半強制的に見せつけられるという形で)「観ざるを得なかった」わけだが・・・。たしかに〈午後四時半、酒井被告が東京湾岸署の正面玄関に姿を見せると、一斉に同被告をとらえて放送。車で都心に向かうと、ヘリコプターを飛ばして上空からリポートする局もあるなど過熱気味に〉とあるように、TBSであれ、日テレであれ、フジであれ、「視聴率稼ぎ」を目途にした《バカ騒ぎ》の連続、〈東京都千代田区内での会見は、テレビ東京以外の民放が会見前の午後六時ごろから伝え、同六時半すぎからはNHKも報道合戦に“参戦”。涙を流して謝罪する酒井被告の顔のアップを映し出した〉そうである。受信料を徴収しているNHKまでが、とるにたらない「一女優の不祥事」などにかかわるようでは、まさに「世も末」というところ、開いた口がふさがらない。記者会見では、とっくに解雇、縁が切れたはずの所属事務所副社長が(なぜか)同席、しかも「質疑無し」の一方的な謝罪(約十分)で終了となれば、この一連の《バカ騒ぎ》が、(女優側の?)誰かによって仕組まれた「茶番劇」であることは一目瞭然、それに乗せられた「報道関係者」の「浅はかさ」「愚かさ」「間抜けさ」ばかりが際だつ一幕であった。
 要するに、酒井法子は「覚醒剤取締法」を犯した女優として(その経験を「芸の肥やしとして」)再出発することを、記者会見で「宣言」したのであり、そこで「流した涙」は、精一杯・迫真の「演技」、彼女の「復活劇」を支えるために、民放・NHKが一致協力して「加担」したということに他ならない。芸能リポーター梨元勝氏は「一芸能人としてファンや関係者に向けた謝罪の言葉はあったが、社会人としての意識、反省がどこまであるのか大いに疑問。(略)今後、復帰の話が出るかもしれないが、様子見うんぬんではなく、きっぱり引退すべきだと思う」(同紙・31面)とコメントしているが、その正論が通るかどうか、ひとえに報道メディア側の「姿勢」(視聴率至上主義を克服できるかどうか)にかかっている、と私は思う。(2009.9.18)